次世代パワーデバイスである6.5kV SiC-MOSFETパワーモジュールの連続スイッチング試験

従来,パワーデバイスの材料として安価で加工性の良いシリコン(Si)が使用されてきましたが,近年炭化珪素(SiC)を用いた次世代パワーデバイスであるSiC-MOSFETが注目を集めております。日本では3.3 kV SiC-MOSFETパワーモジュールを用いたモータドライブシステムが,電気鉄道用途として適用されています。一方,電力用途では6.5 kV耐圧を有するパワーデバイスの適用が期待されています。現在はシリコンを用いた6.5 kV IGBTが実用化されていますが,スイッチング損失低減の観点から数100 Hz以下に制限されるという問題点が存在してきました。
本研究室では,6.5 kV SiCパワーモジュールを用いた連続スイッチング試験回路に関して検討しております。SiCパワーモジュールは低損失であるため,スイッチング周波数を3 kHz以上に増加させることが可能です。本研究室では左図に示す直流3.5 kV, 変換器容量520 kVA, スイッチング周波数3.15 kHzの単相インバータ回路を構築し,連続スイッチング試験を実施しました。詳細な損失解析を行った結果,任意の負荷力率角において変換器効率99%以上が実現できることを明らかにしました。

6.5 kV SiCパワーモジュール用連続スイッチング試験回路の外観