バッテリー車載型直流電気鉄道への適用を目的とした補助変換器を用いた双方向チョッパ回路

近年,バッテリーを車載したバッテリー車載型直流電気鉄道の導入が進んでいます。バッテリーを車載することで,省エネルギーの実現,回生電力の有効利用が可能,架線を使用しないため景観向上などの利点が生じます。一方,架線電圧(1500 V)と電池電圧(600-700 V)は電圧値が異なるため,双方向チョッパを用いて電圧変換を行う必要があります。従来型双方向チョッパに使用するインダクタの重量・体積は数100 kgから1トン以上になる場合もあり,バッテリー車載型直流電気鉄道の導入を阻害するという問題がありました。

本研究室では, インダクタの小型・軽量化が実現可能な補助変換器を用いた双方向チョッパ回路を提案し,実験による検討を行っております。これは,従来型双方向チョッパ回路と比較して,インダクタ重量・体積を1/50以下に低減できる点に特長があります。また,補助変換器が直流遮断器としての機能を有するため,従来回路で必要不可欠な機械的直流遮断器が不要となります。上記技術は今後普及拡大が期待される電気自動車への適用も可能であるため,省エネルギー社会の実現に重要な役割を果たすと考えます。

インダクタの小型・軽量化が実現可能な補助変換器を用いた双方向チョッパの外観図