有効電力を調整可能なSDBC(Single-Delta Bridge-Cell)変換器に関する研究

近年,系統安定度向上,電圧調整を目的とし数10 MVA級無効電力補償装置の導入が進んでおります。従来,無効電力補償装置用半導体電力変換器として変換器用変圧器を用いた方式が適用されてましたが,近年変圧器を用いずに高圧系統に連系可能なモジュラー・マルチレベル・カスケード変換器(MMCC)の適用が始まっております。特に,単一デルタ結線を有するMMCCの一方式であるSDBC変換器は,無効電力補償装置としての特性に優れていることから,複数のメーカーが実用化,もしくは実用化を目指しております。

一方,SDBC変換器は無効電力を調整できますが,有効電力を調整できないという問題がありました。有効電力調整能力を具備することで蓄電システムとしての機能が実現でき,適用先がより広がります。本研究ではSDBC変換器に単相高周波変圧器を挿入することで有効電力を調整可能な革新的回路方式を提案しております。提案方式の有効性・妥当性は,110 V, 10 kVAミニモデルを用いた実験により確認しております。

有効電力を調整可能なSDBC変換器の外観